WordPressカスタム開発で更新工数を50%削減する方法
2025.07.17
WEBデザイン
WordPressカスタム開発とは?──”売れるためのデザイン”との親和性
■標準運用とカスタム開発の違い
WordPressの標準運用では、決められた投稿形式に沿って記事を作成し、限られた項目に情報を入力していく形になります。一方、カスタム開発では、企業の業務フローや情報発信の特性に合わせて、管理画面そのものを作り変えることができます。
例えば、イベント告知を頻繁に行う企業の場合、標準のWordPressでは「タイトル」「本文」「アイキャッチ画像」程度の項目しか用意されていません。しかし、カスタム開発を行えば「開催日時」「参加費用」「定員数」「申込み締切」といった項目を専用に作成し、担当者が迷わずに入力できる環境を整えることができます。
これは、まさに「売れるためのデザイン」の考え方と同じです。ユーザーにとって使いやすく、目的を達成しやすい仕組みを作ることで、結果的に業務効率が向上し、コストパフォーマンスが高まります。カスタム開発は、見た目だけでなく「使い勝手」というユーザビリティ※1を重視した設計手法なのです。
※1 ユーザビリティ
システムやサービスの使いやすさを表す指標。操作の分かりやすさ、効率性、満足度などを総合的に評価する概念。
■デザイン×システム最適化で得られるメリット
デザインとシステムの最適化を組み合わせることで、単なる見た目の改善以上の効果を得ることができます。最も大きなメリットは、更新スピードの向上です。
従来のWordPress運用では、一つの記事を投稿するのに10分から15分程度かかっていた作業が、カスタム開発により5分程度に短縮されることが多くあります。これは、必要な項目だけが表示され、不要な選択肢で迷うことがなくなるためです。
また、社内作業フローの可視化も重要なメリットです。カスタム開発では、「誰が」「いつまでに」「何を」更新するかを明確にした管理画面を作成できます。例えば、承認フロー※2を組み込むことで、担当者が記事を下書き保存し、上司が確認してから公開するという流れを自動化できます。
※2 承認フロー
組織内で情報の公開や決定を行う際の、承認を得るための手続きの流れ。
更新工数が増える原因を整理してみる
■管理画面の「迷いポイント」
WordPress標準の管理画面は、世界中のあらゆる用途に対応するため、多くの機能が盛り込まれています。しかし、この汎用性が裏目に出て、実際の業務では使わない機能が多数表示され、担当者を混乱させる原因となっています。
典型的な迷いポイントとして、無駄な入力項目があります。例えば、企業のお知らせページでは「カテゴリー」「タグ」「コメント設定」「公開日時の詳細設定」などは不要なことが多いにも関わらず、標準画面では必ず表示されます。担当者は「これは入力すべきなのか」「空欄のままで良いのか」と悩む時間が発生し、結果として更新作業に時間がかかってしまいます。
使いづらいメニュー構造も大きな問題です。WordPressの標準メニューは「投稿」「固定ページ」「メディア」「コメント」など、システム的な分類で整理されています。しかし、実際の担当者は「新商品情報を追加したい」「イベントの告知をしたい」といった目的で管理画面にアクセスします。システム視点とユーザー視点のギャップが、操作の迷いを生み出しているのです。
■外注依存が生むコスト増
管理画面の使いにくさは、外注コストの増大にも直結します。社内で更新作業ができない場合、ちょっとした文言の修正や画像の差し替えでも、制作会社に依頼する必要があります。
北海道の企業では、東京や大阪の制作会社に外注するケースも多く、コミュニケーションコストも発生します。メールでの指示では細かいニュアンスが伝わりにくく、何度もやり取りが必要になることもあります。一回の修正で5,000円から10,000円の費用がかかり、年間を通すと数十万円の外注費用が発生することも珍しくありません。
また、外注依存は更新スピードの低下も招きます。緊急性の高い情報発信が必要な場合でも、制作会社のスケジュールに合わせる必要があり、ビジネスチャンスを逃す可能性もあります。
カスタム投稿タイプ・フィールド活用のステップ
■ACF等プラグイン選定のポイント
カスタム投稿タイプ※3とカスタムフィールド※4を効率的に作成するには、適切なプラグインの選定が重要です。最も広く使用されているのは「Advanced Custom Fields(ACF)」というプラグインです。
※3 カスタム投稿タイプ
WordPress標準の「投稿」「固定ページ」以外に、独自の投稿形式を作成する機能。例:「商品情報」「イベント」「スタッフ紹介」など。
※4 カスタムフィールド
記事に独自の入力項目を追加する機能。例:「価格」「開催日時」「担当者名」など。
ACFを選ぶ理由は、操作の簡単さと安定性にあります。プログラミングの知識がなくても、管理画面上で直感的に入力項目を作成できます。また、WordPress本体のアップデートに影響されにくく、長期的に安定して使用できる点も重要です。
プラグイン選定時には、サポート体制も確認が必要です。ACFは英語圏で開発されているため、日本語でのサポート情報が豊富にあるかどうかを調べておくと良いでしょう。また、使用する項目の種類(テキスト、画像、日付、選択肢など)に対応しているかも事前に確認しておくことが大切です。
■具体的な設定手順
カスタム投稿タイプの作成から表示までの流れを、「イベント告知」を例に説明します。
まず、カスタム投稿タイプの作成です。ACFプラグインを使用する場合、管理画面の「カスタムフィールド」メニューから「投稿タイプ」を選択し、新規作成を行います。投稿タイプ名は「event」のような半角英数字で設定し、表示名は「イベント」のような日本語で設定します。
次に、カスタムフィールドの定義です。イベント告知に必要な項目を洗い出し、それぞれに適した入力形式を設定します。例えば、「開催日時」は日付選択形式、「参加費用」は数値入力形式、「申込み方法」は選択式(電話・メール・Webフォーム)といった具合です。
最後に、表示テンプレートの紐付けです。作成したカスタム投稿タイプとカスタムフィールドが、実際のWebサイトでどのように表示されるかを決める部分です。この部分は技術的な作業が必要になるため、制作会社と連携して進めることが一般的です。
管理画面を最適化するテンプレート例
■一覧画面カスタマイズ例
管理画面の一覧画面をカスタマイズすることで、担当者の作業効率を大幅に向上させることができます。標準のWordPressでは、「タイトル」「作成者」「日付」程度の情報しか一覧に表示されませんが、カスタマイズにより業務に必要な情報を一画面で確認できるようになります。
例えば、イベント告知の一覧画面では、「イベント名」「開催日時」「申込み締切」「定員数」「現在の申込み者数」といった情報を表示できます。これにより、担当者は一覧画面を見るだけで、どのイベントが申込み締切間近なのか、定員に達しているものはないかを瞬時に判断できます。
また、色分け機能を使って、申込み締切が近いイベントを赤色で表示したり、定員に達したイベントをグレーアウトしたりすることも可能です。視覚的に情報を整理することで、見落としやミスを防ぐことができます。
■入力画面のレイアウト最適化
入力画面の最適化は、更新作業の効率化に直結する重要な要素です。特に、セクション分割と説明文の自動表示は、担当者の負担を大幅に軽減します。
セクション分割では、関連する項目をグループ化して表示します。例えば、「基本情報」「詳細情報」「申込み情報」といったセクションに分けることで、担当者は現在どの部分を入力しているかを明確に把握できます。長い入力フォームでも、段階的に進んでいる感覚を持てるため、心理的な負担も軽減されます。
説明文の自動表示機能では、各入力項目の下に「この項目では○○を入力してください」「画像サイズは横800px×縦600pxが推奨です」といった説明を表示します。これにより、担当者はマニュアルを別途確認する必要がなくなり、入力作業に集中できます。
北海道企業の事例紹介
■事例1:地域密着型建設会社(札幌市)──工事進捗報告サイト
札幌市内で住宅建設を行う地域密着型の建設会社では、お客様向けの工事進捗報告サイトでWordPressカスタム開発を活用しています。
従来は、工事現場の写真撮影から報告書作成まで、現場監督が手作業で行っていました。写真をパソコンに取り込み、文書作成ソフトで報告書を作成し、メールで送信するという流れで、一件あたり30分程度の時間がかかっていました。カスタム開発では、「工事現場」というカスタム投稿タイプを作成し、「現場写真」「工事内容」「進捗状況」「次回予定」といったカスタムフィールドを設定しました。現場監督はスマートフォンから直接、写真をアップロードし、定型文から選択する形で報告内容を入力できるようになりました。
この結果、一件あたりの報告作業が15分程度に短縮され、月間工数を50%削減することができました。また、お客様も専用のURLから工事進捗を24時間いつでも確認できるようになり、満足度向上にもつながりました。
■事例2:道東観光施設(釧路市)──イベント告知ページ
釧路市内で温泉リゾートを運営する企業では、季節ごとのイベント告知にWordPressカスタム開発を導入しています。
従来は、イベント告知のたびに制作会社に依頼し、一回あたり2万円から3万円のコストがかかっていました。年間20回程度のイベントを開催するため、年間の外注費用は50万円以上に上っていました。カスタム開発では、「イベント」専用の投稿タイプを作成し、「開催日時」「参加費用」「定員数」「持ち物」「申込み方法」といった項目を設定しました。広報担当者は、テンプレートに沿って情報を入力するだけで、統一感のあるイベント告知ページを作成できるようになりました。
ACFプラグインと管理画面レイアウトの最適化により、担当者は迷うことなく入力作業を進めることができ、一件あたり10分程度でイベント告知を完了できるようになりました。外注費用の削減により、年間40万円以上のコストカットを実現しています。
導入前後で何がどう変わる?──コスト試算と効果シミュレーション
■年間外注コスト比較
WordPressカスタム開発導入前後の年間外注コストを、具体的な数値で比較してみましょう。
導入前の一般的な企業では、月に4回程度の更新作業を外注するケースが多く見られます。一回あたりの作業費用を1万円とすると、月間4万円、年間48万円の外注費用が発生します。さらに、緊急の修正やレイアウト変更などの追加作業により、年間総額は60万円から80万円に上ることも珍しくありません。
一方、カスタム開発導入後は、定期的な更新作業の大部分を社内で完結できるようになります。外注が必要なのは、大幅なデザイン変更や新機能追加などの場合に限定されます。年間の外注費用は10万円から20万円程度に抑えることが可能です。初期のカスタム開発費用は30万円から50万円程度が一般的ですが、外注費用の削減により、導入から1年から2年で投資回収が可能になります。長期的に見ると、大幅なコストカットを実現できます。
■社内人的リソース配分の変化
カスタム開発導入により、社内の人的リソース配分にも大きな変化が生まれます。
導入前は、Web更新作業に関わる時間の多くが「制作会社とのやり取り」に費やされていました。修正内容の説明、確認作業、再修正の依頼など、実際の作業時間の2倍から3倍の時間がコミュニケーションに必要でした。導入後は、これらのコミュニケーション時間が大幅に短縮されます。担当者は更新作業そのものに集中でき、空いた時間を企画立案や戦略的な業務に振り向けることができます。
例えば、月に10時間をWeb更新関連の業務に費やしていた担当者が、カスタム開発により5時間に短縮できた場合、残りの5時間を新規事業の企画や顧客対応に充てることができます。時間あたり3,000円の人件費で計算すると、月に15,000円、年間18万円の人件費効果が生まれます。
いかがでしたか?
WordPressカスタム開発の本質は、「使いやすさ」を追求することにあります。システムの都合に合わせて人間が作業するのではなく、人間の業務フローに合わせてシステムを最適化することで、劇的な効率化を実現できます。
特に重要なのは、管理画面の最適化です。担当者が迷うことなく、必要な情報を効率的に入力できる環境を整えることで、更新工数を大幅に削減できます。北海道の企業でも、すでに多くの成功事例が生まれており、年間数十万円のコストカット効果を実現しています。
カスタム開発は、単なるコスト削減手段ではありません。社内の人的リソースを戦略的な業務に振り向けることで、企業の競争力向上にも寄与します。Webサイトの更新作業に費やしていた時間を、新規事業の企画や顧客対応に充てることで、売上向上や顧客満足度の改善につながります。デジタル化が進む現代において、効率的な情報発信能力は企業の重要な競争要素となっています。WordPressカスタム開発により、この競争要素を強化することで、持続的な成長を実現できるのです。
今こそ、更新工数の削減と業務効率化を実現する第一歩を踏み出してみませんか?まずは小さな改善から始めることで、大きな変化を生み出すことができます。
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