売れてる会社は「言葉」を整えている|ブランドが伝わるキャッチコピーとトーンの設計術

2025.05.27

デザイン全般
売れてる会社は「言葉」を整えている|ブランドが伝わるキャッチコピーとトーンの設計術

1. ブランドは”言葉”から始まっている

多くの企業がブランディングを始める際、最初に思い浮かべるのはロゴデザインや色の選定でしょう。しかし、売上を伸ばし続けている会社ほど、実は「どんな言葉で伝えるか」という部分を最優先で整えています。

なぜなら、言葉こそがブランドの”芯”を作るからです。どれだけ美しいロゴを作っても、統一感のないメッセージを発信していては、お客様の心には届きません。一貫性のある会社ほど「使う言葉にルールがある」のが特徴で、SNS投稿から名刺、パンフレット、ウェブサイトまで、すべての媒体で同じトーンを保っています。

逆に、媒体ごとに言葉のトーンがバラバラだと、お客様は混乱し、信頼を失ってしまいます。例えば、ウェブサイトでは堅実で誠実な印象を与えているのに、SNSでは軽すぎる口調で投稿していたら、どちらが本当の企業の姿なのか分からなくなってしまうでしょう。言葉は、まさに「ブランドの人格」そのものです。人と人との関係と同じように、一貫した人格を持つ企業だからこそ、お客様は安心して関係を築けるのです。


 

北海道札幌・旭川市で各種DTPデザイン・ホームページ制作 株式会社ドリームクリエイト|トーン&マナーってなに?"感覚"ではなく"設計"の話のイメージ

2. トーン&マナーってなに?”感覚”ではなく”設計”の話

「トーン&マナー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは一般的なTPO(時と場所と場面)とは異なり、言語や表現における”世界観の一貫性”のことを指します。具体的には、士業や金融業界のような固めの業種なら「安心・誠実・堅実」といったキーワードを軸にした言葉選びをします。一方、エンターテイメント業界なら「軽快・親しみやすさ・感情的」な表現が多くなるでしょう。

重要なのは、これを感覚的に決めるのではなく、意図的に設計することです。「ウチらしさ」のベースとなる「言葉の調律」が必要なのです。例えば、同じ「品質の高い商品です」という内容でも、トーン&マナーによって表現は大きく変わります。

堅実なトーン:

「長年の経験と技術により、確かな品質をお約束いたします」

親しみやすいトーン:

「こだわり抜いた商品で、きっとあなたにも気に入ってもらえると思います」

このように、同じ内容でも伝わる印象は全く違うものになります。トーン&マナーは、企業が持つべき「声」を決める重要な設計要素なのです。


 

北海道札幌・旭川市で各種DTPデザイン・ホームページ制作 株式会社ドリームクリエイト|企業の"伝わる言葉"を整える3ステップのイメージ

3. 企業の”伝わる言葉”を整える3ステップ

Step1:ペルソナの感情を想像する

まず大切なのは、ターゲットとなるお客様が「何を考えていて、どんな不安を抱えているか」を具体的に言語化することです。よくある失敗例として「高品質で信頼できるサービスを提供します」のような、誰でも言える抽象的な表現があります。これでは、お客様の心に響きません。代わりに、お客様の立場に立って考えてみましょう。例えば、初めてリフォームを検討している主婦なら「本当にこの業者に任せて大丈夫だろうか」「思っていた仕上がりと違ったらどうしよう」といった不安を抱えているはずです。

Step2:自社の提供価値を”相手の言葉”で翻訳する

次に、自社が提供できる価値を、お客様の視点で翻訳し直します。

例えば「納期が早い」という特徴があるなら、それを「急な案件にも間に合う安心感をお届けします」と表現し直すのです。BtoCビジネスなら感情面に訴えかけ、BtoBビジネスなら成果や信頼性を意識した表現にします。

  • 「高い技術力」→「お客様の理想を現実にする確かな技術」
  • 「豊富な経験」→「20年間で培った、お客様に寄り添うノウハウ」

このように、機能的な特徴を相手にとっての価値に翻訳することで、響く言葉になります。

Step3:「らしい言葉」をリストアップしてトーンに反映

最後に、自社らしさを表現する言葉をリストアップし、実際のコピーライティングに反映させます。
例えば「真面目」「堅実」「誠実」といったキーワードが自社らしさだと定義したなら、これらの要素を含むコピーを優先的に採用します。そして、SNSの投稿での語尾や、接客時の話し方まで、統一感を持たせることが重要です。

「〜です」「〜ます」といった丁寧語を基本とするのか、「〜ですね」「〜でしょう」といった親しみやすい表現を使うのか。こうした細かい部分まで決めておくことで、ブランドの一貫性が生まれます。


 

北海道札幌・旭川市で各種DTPデザイン・ホームページ制作 株式会社ドリームクリエイト|成功事例:言葉を整えて売上が変わった会社の話のイメージ

4. 成功事例:言葉を整えて売上が変わった会社の話

事例1:士業事務所の例(BtoB)

ある行政書士事務所では、従来「各種手続きの代行業務」「法律相談承ります」といった、機能的な表現をメインに使っていました。しかし、クライアントの不安や悩みに寄り添うトーンに変更し「あなたの”困った”を一緒に考える伴走者」というメッセージを軸にコミュニケーションを統一したところ、ホームページ経由の問い合わせが1.6倍に増加しました。お客様にとって法的手続きは不安なもの。その気持ちに寄り添う言葉選びが、信頼関係の構築につながったのです。

事例2:地元食品メーカー(BtoC)

北海道の小さなスイーツメーカーでは、「素材にこだわった手作りスイーツ」という、ありがちな表現を使っていました。これを「道産子の”やさしさ”を詰め込んだ、おすそわけスイーツ」に変更したところ、SNSでの共感が広がり、リポスト数やレビュー数が大幅に増加しました。「おすそわけ」という身近な言葉を使うことで、贈り物としての価値を表現し、地域性も活かした成功例です。


 

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5. よくある失敗パターンと対処法

多くの企業が陥りがちな失敗パターンとその改善方法をご紹介します。

・「カッコよさ」だけで言葉を選ぶ

見た目の良さや流行りの表現に惹かれて言葉を選んでしまうと、ターゲットの心に響かないメッセージになってしまいます。常にペルソナの視点に立ち返って、相手の気持ちに寄り添う表現を選ぶことが大切です。

・流行りの言葉を無理に使う

トレンドワードや業界用語を無理に取り入れると、企業本来の誠実さや信頼性が薄れてしまいます。自社の価値観に合う表現を一貫して使うことで、ブランドの個性が際立ちます。

・SNSとパンフレットで言葉のトーンがバラバラ

媒体ごとに異なる担当者が作成していると、トーンの統一が取れないことがよくあります。トーンマナーガイドを作成し、全社で共有することで、一貫性のあるコミュニケーションが実現できます。


 

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6. コピーやトーンは”育てていく”もの

完璧なトーン&マナーを最初から作り上げる必要はありません。むしろ、「仮の言葉」から始めて、お客様の反応を見ながら調整していくことが重要です。ウェブサイトのコンバージョン率、SNSでの保存数や共感コメント、実際の接客での反応など、さまざまな指標を参考にしながら、言葉を育てていきましょう。

そして、社内やチームで言葉の共有ができるようになると、接客スタッフや営業担当者まで同じトーンで話すようになり、企業全体の統一感が生まれます。お客様にとって、どの接点でも同じ「企業らしさ」を感じられる体験を提供できるのです。


 

7. 自社の”らしさ”を整えるためにやってみてほしいこと

今すぐできる具体的なアクションをご提案します。

まず、社内やチームで「うちの会社って、どんな言葉が似合うだろう?」というディスカッションを行ってみてください。普段何気なく使っている表現の中に、企業らしさのヒントが隠れています。

次に、現在のSNS投稿やウェブサイトのテキストを客観的に読み返し「これは自社らしくない表現だな」と感じる部分に赤入れしてみましょう。意外と統一感が取れていない箇所が見つかるはずです。

最後に、コピーや紹介文を作成する際の「言い回しチェックリスト」を作ることをお勧めします。自社らしいキーワードや避けるべき表現をまとめておくことで、誰が作成してもブランドに一貫性のある文章が作れるようになります。

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伝える”前に”、言葉を整えることがブランド設計の第一歩

言葉は、デザインよりも先に整えるべき”土台”です。ロゴや色、書体といったビジュアル要素も大切ですが、それらが活かされるのは、一貫したメッセージがあってこそです。トーン&マナーは企業の「人格」や「信頼感」を作り上げる重要な要素です。そして、ロゴ・色・書体の前に、「伝え方の一貫性」こそがブランドを支える基盤となります。お客様との信頼関係は、美しいデザインだけでは築けません。一貫した言葉で語りかけ続けることで、初めて「この会社らしさ」が伝わり、選ばれる企業になれるのです。

「伝え方を見直したい」「トーンガイドを作ってみたい」
そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。SNS・Web・パンフレットなど、媒体に合わせたトーン設計を含めた”らしさ発掘”をサポートします。