なぜ”かっこいい”だけじゃダメ?Webデザインより導線設計が重要な理由
2025.06.16
WEBデザイン
1. はじめに:「おしゃれなサイト」が売上をつくるとは限らない
「うちのホームページ、もっとかっこよくしたいんです」
「最新のデザインで、インパクトのあるサイトにしてください」
Web制作の現場で、このような相談をいただくことがよくあります。確かに、見た目が美しく洗練されたサイトは魅力的ですし、企業のブランドイメージ向上にも貢献します。
しかし、ここで一つ重要な質問があります。あなたのホームページの目的は何でしょうか?
多くの場合、企業サイトの目的は「集客」「売上向上」「問い合わせ獲得」といった具体的な成果を求めているはずです。ところが、「かっこいいデザイン」だけに注力したサイトでは、期待していた成果が得られないケースが頻繁に起こります。
実際に、弊社にご相談いただくお客様の中にも、「リニューアルしたのに問い合わせが減った」「おしゃれになったけど、売上につながらない」といった悩みを抱えている方が少なくありません。成果が出るサイトの秘訣は、実は「デザイン」よりも「導線設計」にあります。どんなに美しいデザインでも、ユーザーが迷子になってしまうサイトでは、本来の目的を達成することはできません。
本記事では、Webサイトにおける導線設計の重要性と、実際の改善ポイントを具体的に解説していきます。「見た目重視」から「成果重視」のサイト制作へ、発想を転換するきっかけになれば幸いです。
2. 導線設計とは?Webにおける”接客動線”のこと
導線設計とは、サイト訪問者が「目的」にたどり着くまでの流れを設計することです。これは、実店舗での「接客動線」と非常によく似ています。実店舗を例に考えてみましょう。お客様が店舗に入ってから商品を購入するまでには、以下のような流れがあります。
- 入口でお客様を迎える
- 商品の場所を案内する
- 商品の特徴を説明する
- お客様の疑問に答える
- レジへ誘導する
この一連の流れが自然で分かりやすいほど、お客様は安心して買い物を楽しめますし、最終的な購入にもつながりやすくなります。
Webサイトでも同じです。訪問者がサイトに来てから問い合わせや購入に至るまでの流れが、以下のような導線として設計されている必要があります。
- TOPページ:企業の信頼性を伝え、興味を引く
- サービス紹介:具体的な商品・サービス内容を説明
- 実績・事例:安心感を与える証拠を提示
- お問い合わせフォーム:行動を促す明確な案内
しかし、多くのサイトでは、この導線が整理されていません。訪問者は「次に何をすればいいのか分からない」状態になり、結果的にサイトから離脱してしまいます。
導線設計は、いわば「デジタル接客」の設計図です。どんなに優秀な営業マンでも、お客様を案内する順序や方法を間違えれば成果は出ません。Webサイトも同じで、まずは「どの順番で、どのような情報を提供するか」を戦略的に考える必要があるのです。
3. よくある失敗:導線設計がないサイトの特徴
導線設計が不十分なサイトには、共通する特徴があります。以下のような問題を抱えていませんか?
■メニューが多すぎて、どこを見ればいいかわからない
「会社概要」「事業内容」「サービス一覧」「製品情報」「採用情報」「お知らせ」「アクセス」「プライバシーポリシー」、、、
メニューが10個以上あるサイトをよく見かけますが、これは訪問者にとって大きな負担です。選択肢が多すぎると、人は「選択の麻痺」を起こしてしまいます。結果的に、どのページも見ずに離脱してしまうのです。
■デザインにこだわりすぎて、肝心のCTAが目立たない
美しいデザインを追求するあまり、最も重要な「お問い合わせボタン」や「資料請求ボタン」が背景に埋もれてしまっているケースがあります。アート作品のようなサイトでも、ビジネスの成果は得られません。
■情報の順序がバラバラで「読む気」を失わせる
訪問者が知りたい情報の順序を考えず、企業側の都合で情報を並べているサイトも多く見られます。例えば、いきなり技術的な詳細から始まって、「そもそも何の会社なのか」が分からないような構成では、訪問者は離脱してしまいます。
■実際の失敗事例
弊社にご相談いただいた旭川の建築会社様の例をご紹介します。
リニューアル前は月平均3件の問い合わせがありましたが、デザインを重視したリニューアル後、問い合わせが月1件まで減少してしまいました。原因を分析すると、以下の問題が発見されました。
- TOPページに大きな写真を配置したが、会社の特徴が分からない
- 「お問い合わせ」ボタンがページの最下部にしかない
- 施工事例への導線が不明確
- スマホで見ると、重要な情報が見えない位置にある
見た目は確かに美しくなりましたが、「問い合わせを獲得する」という本来の目的からは遠ざかってしまったのです。このような失敗を避けるためには、デザインよりも先に「導線設計」を考える必要があります。
4. 成果を出すサイトに共通する3つの導線ルール
成果を出しているサイトには、共通する導線設計のルールがあります。以下の3つのポイントを意識することで、サイトの成果は大きく改善します。
■【ルール1】目的は1ページ1つに絞る
各ページには、明確な役割を持たせましょう。
- TOPページ:企業の信頼性を伝え、主要ページへ誘導
- サービスページ:具体的な商品・サービス内容を説明
- 事例ページ:実績を通じて安心感を与える
- 問い合わせページ:行動を促す
1つのページで「あれもこれも」伝えようとすると、結果的に何も伝わりません。各ページの目的を明確にし、次のアクションを1つに絞ることが重要です。
■【ルール2】「このあとどうすればいいか」が明確
訪問者が各ページを見た後、「次に何をすればいいか」が一目で分かるようにしましょう。
- 「詳しく見る」ボタンで詳細ページへ
- 「事例を見る」ボタンで実績ページへ
- 「お問い合わせ」ボタンで問い合わせフォームへ
ボタンのテキストも重要です。「詳細はこちら」ではなく、「施工事例を見る」「無料相談を申し込む」など、具体的な行動を示す言葉を使いましょう。
■【ルール3】スマホでの遷移動線も重視
現在、多くのサイトでモバイル閲覧が全体の7割を占めています。パソコンで美しく見えても、スマホで操作しにくいサイトでは成果は期待できません。
- 重要なボタンは親指で押しやすい位置に配置
- メニューは折りたたみ式にして、画面を有効活用
- 縦長のページでも、適度な位置にCTAボタンを配置
また、視線の流れを意識した設計も重要です。Webサイトの閲覧では「Fの法則」「Zの法則」と呼ばれる視線の動きがあります。これらを活用して、重要な情報を適切な位置に配置しましょう。
5. UI/UX視点で見直すべきチェックポイント
導線設計を具体的に改善するために、以下のチェックポイントを活用してください。
■メニュー構成のチェック
- メニュー項目は3〜5項目以内に収まっているか?
- メニューの名称は、訪問者にとって分かりやすい言葉か?
- 最も重要なページへの導線が明確か?
理想的なメニュー構成は、訪問者が迷わない程度のシンプルさです。企業の都合ではなく、訪問者の視点で整理しましょう。
■CTAの位置と目立ちやすさ
- ページをスクロールした時、適度な間隔でCTAボタンが現れるか?
- CTAボタンの色や大きさは、他の要素より目立つか?
- ボタンのテキストは、具体的な行動を促しているか?
CTAボタンは、サイトの「レジ」のような存在です。どんなに良い商品を紹介しても、レジが分からなければ購入につながりません。
■フォームページの遷移
- 問い合わせまでのクリック数は最小限か?
- フォームの入力項目は本当に必要な項目だけか?
- エラーメッセージは分かりやすいか?
フォームは最後の砦です。ここで躓いてしまうと、せっかく興味を持ってくれた見込み客を逃してしまいます。
■スマホでの表示と操作性
- 折りたたみメニューは直感的に操作できるか?
- ボタンは指で押しやすいサイズか?
- 文字は読みやすいサイズか?
- ページの読み込み速度は適切か?
スマホユーザーは、パソコンユーザーよりも「せっかち」です。少しでも操作しにくいと感じれば、すぐに他のサイトに移ってしまいます。
6. 実際の改善事例:リニューアル後に成果が変わった話
導線設計の改善によって、実際に成果が大きく変わった事例をご紹介します。
■地方の建築会社様の改善事例
Before(改善前)
- トップページに美しい建築写真を大きく掲載
- 会社の特徴や強みが伝わりにくい構成
- お問い合わせボタンがページ下部に小さく配置
- 施工事例への導線が不明確
- スマホで見ると重要な情報が見えない
結果:月間問い合わせ数 平均2件
After(改善後)
- TOPページに「地域密着30年の実績」を明確に表示
- 「施工事例を見る」「無料相談を申し込む」ボタンをファーストビューに配置
- お客様の声を分かりやすい位置に配置
- スマホでも操作しやすいボタンサイズに調整
- 問い合わせフォームの入力項目を簡素化
結果:月間問い合わせ数 平均5件(2.5倍に改善)
この改善では、デザインの大幅な変更は行わず、主に導線設計の見直しを行いました。広告費を増やすことなく、サイト内の導線を整理しただけで、これだけの成果改善が実現できたのです。
■改善のポイント
この事例での主な改善ポイントは以下の通りです:
- 企業の強みを明確に打ち出した(地域密着30年)
- 訪問者の求める情報への導線を明確化(施工事例)
- 信頼性を高める要素を適切な位置に配置(お客様の声)
- 行動しやすい環境を整備(ボタンの配置とサイズ)
- 離脱ポイントを削減(フォームの簡素化)
重要なのは、これらの改善が「訪問者の立場」で考えられている点です。企業が伝えたいことではなく、訪問者が知りたいことを優先した結果、成果につながったのです。
7. デザインと導線の”両立”が本当に強いサイト
ここまで導線設計の重要性を強調してきましたが、「デザインは不要」という意味ではありません。本当に強いサイトは、「優れた導線設計」と「魅力的なデザイン」の両方を備えています。
■優先順位を考える
重要なのは優先順位です。まず導線設計で「成果の出る仕組み」を作り、その上で「魅力的なデザイン」を施すという順序が基本です。
この順序を逆にしてしまうと、美しいけれど成果の出ないサイトになってしまいます。建物に例えれば、まず設計図を作り、その後で内装を考えるのと同じです。
■デザインが果たす役割
適切な導線設計の上に施されるデザインは、以下の役割を果たします:
- 企業の信頼性を視覚的に伝える
- ブランドイメージを統一する
- 情報の優先度を視覚的に示す
- ユーザーの感情に働きかける
例えば、高級感のあるデザインは企業の品質に対する信頼を高めますし、親しみやすいデザインは顧客との距離感を縮めます。これらの効果は、導線設計と組み合わさることで、より大きな成果を生み出します。
■ブランディングデザインとの連携
企業のブランディングを考える際も、導線設計は重要な要素です。ブランドイメージを伝えるためのデザインも、適切な導線に沿って配置されることで、初めて効果を発揮します。
- ブランドカラーを効果的に使ったCTAボタン
- 企業の個性を表現しつつ、読みやすいフォント選択
- ブランドイメージに合った写真とレイアウト
このように、デザインと導線設計は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。
いかがでしたか?
サイト制作は”目的達成”の設計からなのです。Webサイトの制作やリニューアルを検討する際は、まず「何のためにサイトを作るのか」という目的を明確にしましょう。多くの場合、その目的は以下のようなものです。
- 新規顧客の獲得
- 問い合わせ数の増加
- 売上の向上
- ブランド認知度の向上
これらの目的を達成するためには、まず「導線設計」が整っていることが最優先です。どんなに美しいデザインでも、訪問者が目的の行動を取れなければ意味がありません。
■成果を出すための3つのステップ
- 【ステップ1】目的の明確化:何のためのサイトなのかを明確にする
- 【ステップ2】導線設計:目的達成までの流れを設計する
- 【ステップ3】デザイン:導線を補強し、魅力的に見せる
この順序を守ることで、「見た目も良く、成果も出る」サイトを作ることができます。
■パートナー選びの重要性
サイト制作を依頼する際は、デザインだけでなく「戦略設計」から相談できるパートナーを選ぶことが重要です。
- ビジネスの目的を理解してくれるか
- ターゲット顧客の分析ができるか
- 導線設計の経験と実績があるか
- 成果測定と改善提案ができるか
これらの要素を満たすパートナーと組むことで、真に成果の出るサイトを構築することができます。事業を展開する企業様にとって、Webサイトは貴重な営業ツールです。限られた予算の中で最大の成果を出すためにも、「導線設計」を重視したサイト制作をお勧めします。
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