デザインで変える世界: ジェンダー平等、人種多様性、社会的包摂への道

2024.01.17

デザイン全般
デザインで変える世界: ジェンダー平等、人種多様性、社会的包摂への道

北海道旭川市のデザイン会社、ドリームクリエイトです。

私たちは日々、さまざまなデザインに囲まれて生活しています。街角の看板からスマートフォンのアプリ、お気に入りの服の柄まで、すべてが何らかの「デザイン」です。しかし、デザインの影響は、ただ目に見える形だけではありません。実は、デザインは私たちの考え方や行動、さらには社会全体に大きな影響を与える力を持っています。

この記事では、デザインがどのようにして「ジェンダー平等」、「人種の多様性」、「社会的包摂」といった大切な社会問題に貢献できるのかご紹介します。ジェンダー平等とは、男性も女性も同じ権利と機会を持つこと。人種の多様性とは、異なる背景を持つ人々が共に尊重されること。社会的包摂とは、誰もが社会の一員として受け入れられ、参加できることを意味します。

多くの人にとって、これらの言葉は難しいものです。しかし、デザインを通じてこれらの概念を身近なものに変え、もっと簡単に理解しやすくすることができます。デザインが私たちの世界をどのように形作り、より良い未来に導くことができるのかを、具体的な例とともにご紹介します。


 

■デザインにおけるジェンダー平等

私たちの日常生活には、さまざまな製品やサービスが溢れています。これらはすべて、男性も女性も使うことを想定してデザインされているはずです。しかし、実際には、性別によって使い勝手が異なることがよくあります。これは、デザインが無意識のうちに特定の性別を想定して作られていることが原因です。ジェンダー平等の観点からデザインを考えるというのは、このような偏りを無くし、すべての人が快適に使える製品やサービスを作ることを意味します。

1. ステレオタイプを打破するデザイン

多くの製品や広告は、昔からの「男らしさ」や「女らしさ」といったステレオタイプに基づいて作られてきました。例えば、女性向けの製品にはよくピンク色が使われ、男性向けの製品は青や黒といった色が多いです。しかし、デザインにおけるジェンダー平等とは、このような古い考え方を超え、もっと多様な色や形、機能を考えることです。性別に関係なく、誰もが使いやすいデザインを目指すことが大切です。

2. ジェンダーニュートラルなデザイン

ジェンダーニュートラルなデザインとは、男性でも女性でも、またそれ以外の性別の人でも使えるようにするデザインのことです。例えば、服やトイレット用品、玩具など、従来は明確に「男の子向け」「女の子向け」と分けられていたものを、性別にとらわれない形でデザインすることがあります。これによって、性別に関係なく自由に選択できるようになり、個々の好みやニーズに合わせた使用が可能になります。

3. 広告とマーケティングにおけるジェンダー多様性

広告やマーケティングの分野でも、ジェンダー平等は重要なテーマです。従来の広告では、よく特定の性別の役割やイメージが強調されていましたが、最近では性別の多様性を反映した広告が増えています。これは、多様な性別の人々が登場し、性別に基づく固定観念を超えたメッセージを伝えることを意味します。こうしたアプローチは、消費者に対してもっとオープンで包括的なメッセージを送り、多様な社会を反映することにつながります。

ジェンダー平等をデザインの中に取り入れることは、単に「公平な」製品を作ること以上の意味を持ちます。それは、社会全体の考え方や価値観を変え、より多様性を受け入れる文化を育てることに貢献します。すべての人が自分自身を表現し、快適に生活できる環境を作るためには、デザインが重要な役割を果たすのです。

デザインにおけるジェンダー平等の取り組みは、製品の色や形から広告のメッセージに至るまで、私たちの日常生活のあらゆる面に影響を及ぼします。これにより、性別に関わらず、すべての人が自分に合った選択をする自由を得ることができます。そして、それは単に製品の選択肢を広げるだけでなく、性別に基づく偏見や固定観念を減らすことにもつながります。

デザインを通じてジェンダー平等を促進することは、より公正で平等な社会への一歩となるはず。デザイナー、企業、そして私たち消費者一人ひとりが、このような変化を支持し、推進することが重要です。それによって、誰もが自分らしくいられる、より豊かな社会を築くことができるのです。


 

■人種多様性の推進

私たちの社会は、さまざまな背景を持つ人々で構成されています。人種の多様性は、この社会の豊かさの一つですが、残念ながら、これまでのデザインの世界ではこの多様性が十分に反映されていないことがよくあります。人種多様性をデザインに取り入れるというのは、すべての人々の存在を認識し、尊重することを意味します。それは、製品やサービスが、異なる文化や肌の色、出自を持つ人々にとっても使いやすく、魅力的であることを保証することです。

1. 多文化的視点の統合

デザインプロセスにおいては、多様な文化的背景を持つ人々の視点を統合することが重要です。これには、デザインチーム自体の多様性を高めることや、異なる文化的背景を持つユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れることが含まれます。例えば、異なる国や文化圏での製品の使用習慣を理解し、それに合わせたデザインを行うことが考えられます。

2. 感度を考慮した製品デザイン

人種の多様性を尊重する製品デザインとは、単に多様な肌の色を表現すること以上のものです。これには、文化的な要素やシンボルを適切に理解し、尊重することも含まれます。例えば、特定の文化の伝統的な模様や色を使う場合は、その文化の意味や背景を正しく理解し、敬意を持って取り入れることが必要です。

3. デザイン教育における多様性の促進

デザイン教育においても、人種の多様性を促進することは重要です。これは、教育プログラムが多様な文化や背景を持つ学生を受け入れること、さらにはカリキュラムに多様な視点を取り入れることを意味します。デザインの歴史や理論を教える際にも、西洋中心の視点だけでなく、世界中のさまざまなデザインの流れを紹介することが重要です。

人種の多様性をデザインに取り入れることは、単に「公正さ」を提供するだけではありません。それは、異なる文化や背景を持つ人々のニーズと価値観を理解し、尊重することによって、より豊かで幅広い視点をデザインにもたらすことを意味します。これにより、製品やサービスは、より多くの人々にとって魅力的でアクセスしやすくなります。

デザイン業界全体がこのような多様性を促進することによって、私たちの社会はより公正で包括的なものになります。異なる文化や生い立ちを持つ人々が共に働き、創造することで、私たちは新しいアイデアや視点に触れることができ、それが新たな創造的なインスピレーションにつながります。多様性を尊重するデザインは、私たちの社会の多様性を反映し、その豊かさを表現します。

人種多様性の推進は、私たちが使用する製品だけでなく、その製品が作られる過程にも影響を及ぼします。異なる背景を持つ人々がデザインプロセスに関わることで、より多くの視点が取り入れられ、それが製品の質と魅力を高めることにつながります。さらに、デザイン教育においても多様性を促進することで、将来のデザイナーたちがより幅広い視野を持つことが可能になります。

デザインにおける人種多様性の推進は、単に社会的な責任を果たすこと以上の意味を持ちます。それは、私たちの文化的豊かさを称賛し、異なる人々が共に生きる社会を形成する基盤となります。デザインがこのような多様性を反映し、それを促進することで、私たちの社会はより公正で、豊かなものになるはずです。


 

■社会的包摂とアクセシビリティ

社会的包摂とは、すべての人が社会の一部として受け入れられ、参加できる状態を指します。デザインの観点から言えば、これは製品やサービスが、障害を持つ人々を含めたあらゆるユーザーにとって使いやすく、アクセスしやすいことを意味します。アクセシビリティ、つまり「利用しやすさ」は、この社会的包摂を実現するための重要な要素です。

1. ユニバーサルデザインの原則

ユニバーサルデザインとは、あらゆる人々が使用できる製品や環境を作るためのデザインアプローチです。これは、障害の有無に関わらず、全ての人が平等に利用できるように考慮されたデザインを指します。例えば、歩行困難な人のための斜面、視覚障害者のための音声案内、聴覚障害者のための字幕付きビデオなどがあります。ユニバーサルデザインは、特定のグループだけでなく、すべての人の生活の質を向上させます。

2. 障害を持つ人々のためのデザイン

社会的包摂とアクセシビリティを考える際、障害を持つ人々のニーズを特に考慮することが重要です。これには、身体的、知的、感覚的な障害が含まれます。これらのニーズを満たすためには、製品やサービスのデザインにおいて、多様な使用シナリオを想定し、様々な障害に対応する機能を組み込むことが必要です。

3. アクセシビリティを考慮したデザインの利点とチャレンジ

アクセシビリティを考慮したデザインは、障害を持つ人々だけでなく、高齢者や一時的に障害を持つ人々にも恩恵をもたらします。例えば、簡単に操作できるウェブサイトやアプリは、技術に不慣れな高齢者にとっても使いやすいものです。一方で、これらのデザインを実現するには、多様なニーズを理解し、それに対応するための綿密な計画と創造性が求められます。

社会的包摂とアクセシビリティをデザインに取り入れることで、私たちはより多くの人々が快適に生活できる社会を実現することができます。これは、デザインが単に「見た目」を良くすること以上の役割を果たすことを示しています。それは、すべての人に平等なアクセスと機会を提供し、誰もが参加しやすい社会を作るための重要なステップです。

デザイナーが社会的包摂とアクセシビリティを心がけることにより、製品やサービスはより多くの人々にとって使いやすく、快適になります。これは、デザインが持つ真の力を示し、より公正で包摂的な社会を築くための貢献となるのです。社会的包摂を目指すデザインは、単に特定のグループを支援するだけでなく、社会全体の生活の質を向上させる効果があります。

デザインの世界で社会的包摂とアクセシビリティを推進することは、私たち全員にとっての課題です。デザイナー、開発者、ビジネスリーダーはもちろんのこと、消費者としての私たち一人ひとりも、よりアクセシブルで包摂的な製品やサービスを求め、支持することで、この変化を加速させることができます。それによって、誰もが自分らしく生活できる、より優しい世界を築くことができるのです。


 

■デザインを通じた社会意識の向上

デザインは単に美しさを追求するだけではなく、社会の意識を高め、重要なメッセージを伝える手段としても機能します。環境問題、健康、平等など、さまざまな社会的な課題に対して、デザインは強力なコミュニケーションツールとなり得ます。このセクションでは、デザインを通じて社会意識をどのように向上させることができるかを探ります。

1. ビジュアルコミュニケーションを用いたメッセージング

ビジュアルコミュニケーション、すなわち視覚的な要素を使用したコミュニケーションは、複雑なメッセージや情報を簡潔かつ効果的に伝えることができます。インフォグラフィック、ポスター、ソーシャルメディアの投稿などを通じて、デザインは社会的な問題に光を当て、人々の関心を引きます。視覚的なインパクトは、言葉だけでは伝えられない感情や緊急性を伝えることができるのです。

2. デザインによる社会問題への意識喚起

デザインは、社会問題に対する認識を高めるための有力な手段です。例えば、環境保護のためのキャンペーン、健康に関する啓蒙活動、人権や平等に関するプロジェクトなどで、デザインは重要な役割を果たします。魅力的で意味のあるデザインを通じて、人々はこれらの問題について考え、行動を起こすきっかけを得ることができます。

3. ソーシャルメディアとデザインの融合

ソーシャルメディアは現代社会において非常に強力なプラットフォームです。ここでのデザインは、瞬時に大きな影響を与えることができます。魅力的なビジュアル、インパクトのあるメッセージ、シェアしやすいコンテンツは、社会的な問題に対する認識を広めるのに役立ちます。デザイナーは、この力を利用して、ポジティブな変化を促進するメッセージを広めることができます。

デザインを通じた社会意識の向上は、単に情報を伝えること以上のものです。それは、社会的な問題に対する理解を深め、変化を促すための行動を呼びかけることにつながります。デザインは、私たちが住む世界に対して、より深い洞察を持ち、責任ある行動をとるための強力な動機付けを提供します。

このようなデザインは、感情に訴え、思考を刺激し、行動を促します。ソーシャルメディアの普及により、デザインの影響力はさらに強まっています。これにより、デザインはただの「美しいもの」を超え、社会全体に影響を与える力を持つようになりました。私たち一人ひとりが、デザインを通じて社会の良い変化を起こすための力を持っていることを忘れてはなりません。


 

■ケーススタディ : 北海道での社会的デザインの実例

北海道は、その美しい自然環境と豊かな文化で知られていますが、社会的なデザインの面でもいくつか注目すべき事例があります。以下に、地域コミュニティや環境への貢献を目指した北海道のデザインプロジェクトの実例を紹介します。

1. 札幌市: 障害者支援施設のデザイン

札幌市にある障害者支援施設では、ユニバーサルデザインの原則に基づいた改修が行われました。この施設では、バリアフリーの設計に加えて、視覚障害者や聴覚障害者にも配慮したサインシステムを導入。施設内の案内板や情報表示は、明瞭な視覚デザインにより、誰もが理解しやすいものとなっています。

2. 小樽市: 地域ブランディングプロジェクト

小樽市では、地域の歴史や文化を活かしたブランディングプロジェクトが行われました。このプロジェクトでは、地元の伝統工芸品や食文化をモチーフにしたデザインが、観光促進のための様々な商品や広告に使用されています。これにより、地域の特色を全国に伝えるとともに、地域経済の活性化にも貢献しています。

3. 函館市: 環境意識を高める公共デザイン

函館市では、市民の環境意識を高めるための公共デザインプロジェクトが展開されています。例えば、リサイクルを促進するための視覚的にわかりやすいゴミ分別ガイドや、公共スペースでの省エネルギーを啓蒙するキャンペーンなどが実施されています。これらの取り組みは、市民の日常生活における環境問題への意識を高めることを目指しています。

これらの実例は、デザインが単に美的な側面だけでなく、社会的な問題に取り組み、地域コミュニティを支援するためにどのように活用され得るかを示しています。北海道のこれらの事例からは、デザインが持つ社会的な影響力と、それを通じて達成できるポジティブな変化が見て取れます。

地域の特性を活かしたデザインは、その地域に住む人々の生活を豊かにし、より良い社会を築くための強力なツールとなることがわかります。北海道のこれらの事例は、他の地域やコミュニティにおいても、同様のアプローチを取るためのインスピレーションとなります。

いかがでしたか?

デザインは、単に物事の「見た目を良くする」以上の役割を担っています。それは、社会的な課題に光を当て、解決への道を示す道具にもなり得るのです。単なる「物作り」ではなく、「社会作り」の一部でもあるのです。

私たちは、デザインを通じて社会にポジティブな影響を与えることができます。デザイナーであれ、消費者であれ、私たちの行動一つ一つが、より公正で包摂的な社会を形成するための重要なステップとなります。デザインは、単に美しいものを作り出す芸術ではなく、社会を形作る強力な力なのです。