2023年のデザイン業界総括 ー今年1年の業界を振り返るー
2023.12.20
デザイン全般北海道旭川市のデザイン会社、ドリームクリエイトです。
2023年もまもなく終わろうとしています。
2023年は、デザインの世界において、革新的な技術の導入、持続可能性への注目、そしてユーザー体験の向上といった多様なトレンドが見られました。この記事では、各分野における2023年の主要な動向を紹介します。
AIの影響、ミニマリズムの流行、エコフレンドリーなアプローチ、そして文化的多様性の反映など、今年のデザイン業界がどのように進化し、変化したのでしょうか。
■グラフィックデザインのトレンド
2023年のグラフィックデザインにおけるトレンドを挙げてみました。
- AIデザイン
AI技術はデザインプロセスを変革しています。生成やアルゴリズムベースのデザインツールを使い、手作業では不可能だったデザインを実現することが可能になりました。この技術の進歩により、デザインの領域が拡大し、新しい表現が可能になっています。 - 抽象的な3D
3Dデザインは、抽象的かつ実験的な要素を取り入れることで、新しい視覚的な体験を提供します。デジタル形式で生命を吹き込まれた彫刻やインスタレーションのような作品が注目されています。 - リソプリント
大豆由来のインクを使用するリソグラフ印刷が復活。リソグラフ印刷は、その鮮やかで明るい色と粗いテクスチャが特徴で、各プリントが独特の個性を持つことから、グラフィックデザインの世界で人気を集めています。 - クリーンなレイアウト
ミニマリズムに焦点を当て、フラットデザイン、タイポグラフィ、ネガティブスペースを用いて、シンプルでエレガント、そして理解しやすいデザインを作り出しています。 - モダンノスタルジア
ヴィンテージ要素を現代的な捉え方で再解釈し、懐かしさと新鮮さを兼ね備えたデザインを生み出しています。異なる時代やスタイルを組み合わせることで、ユニークな表現を実現しています。 - ブルータルグランジ
パンクやアンダーグラウンドカルチャーから影響を受けた、粗野で未加工な感じのデザインが注目されています。手描きの要素や傷んだテクスチャを取り入れた作品が多く見られます。 - キャンディーカラーパレット
鮮やかで遊び心のある色合いが特徴で、特にブランディングやパッケージデザインで人気です。パステルカラーやネオンヒュー、明るく大胆な色が使われています。
■ウェブデザインのトレンド
2023年のウェブデザインにおける主要なトレンドを見てみましょう。
- Y2Kとノスタルジアの復活
このトレンドは、2000年代初頭のスタイルへの回帰を意味します。これには、レトロなフォントやピクセル化された画像、カスタムカーソルの使用が含まれます。このトレンドは、過去のデザイン要素を現代的な感覚で再解釈することで、新しい魅力を生み出しています。 - カスタムフォント
テキストベースのウェブデザインが主流になる中で、デザイナーは個性を出すために独自のフォントや手描きのレタリングを制作しています。このトレンドは、デザインのオリジナリティとブランドアイデンティティを強調します。 - 立体的なイラスト
メタバースの影響を受け、3Dイラストやクレイモーフィズム(粘土のような形状)が人気を集めています。これにより、ウェブサイトに没入感と動きを与え、ユーザーを引き込む効果があります。 - 楽しむためのインタラクション
このトレンドは、ウェブサイトに楽しさや驚きを加えるためのインタラクティブな要素です。ユーザーがサイトとのやり取りを楽しむことで、より記憶に残る体験を提供します。 - ローディングアニメーション
以前は一般的だったローディングアニメーションが、インタラクションや没入型デザインのトレンドと共に復活しています。これにより、ウェブサイトの読み込み時間が待ち時間としてではなく、体験の一部として楽しめるようになります。 - コラボレーション
リモートワークの増加に伴い、共同作業をサポートするデジタルツールが重要になっています。このトレンドでは、ユーザーがオンラインで簡単に協力し、情報を共有できるような機能が組み込まれています。
■プロダクトデザインのトレンド
2023年のプロダクトデザイン業界では、以下のような興味深いトレンドが見られました。
- タイポグラフィと言葉指向のデザイン
商品のパッケージやウェブサイトのインターフェースに、ビジネスに関連するキーワードを取り入れることで、ブランドの視認性を高めています。また、フォントの選択も重要で、モダンや未来的、幾何学的なフォントが選ばれています。 - 大胆な色彩
ブランドの認識を高め、製品の魅力を向上させるために、鮮やかな色が使用されています。2023年の色として「ビバ・マゼンタ(viva magenta)」という色に決まった、というニュースもありました。 - ミニマリズム
シンプルでクリーンなデザインが引き続き人気で、特にAppleのようなブランドがこのスタイルの先駆者とされています。 - ダークモード
目の負担を軽減し、バッテリーを節約するために、ダークモードのディスプレイ設定が広く使われています。 - モーションデザイン
ユーザーエンゲージメントを高め、ポジティブなユーザーエクスペリエンスを提供するために、動きのあるデザインが取り入れられています。 - ボイスユーザーインターフェース(VUI)
音声コマンドを通じてデバイスとの相互作用を容易にする、音声認識技術が取り入れられています。 - VR、AR、MR
バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)といった高度な技術が、プロダクトデザインの重要なトレンドとなっています。 - アクセシビリティとインクルーシビティ
すべてのユーザーが効率的に製品を使用できるような、アクセシブルで包括的なデザインが重視されています。 - エコフレンドリネス
気候変動への対応として、環境に優しいソリューションがプロダクトデザインにおいても求められています。
■ファッションデザインのトレンド
2023年のファッションデザイン業界では、以下のようなトレンドが注目されました。
- 革新的な素材の使用
AdobeのProject PrimroseドレスやModern Synthesis x GANNIのバウバッグなど、新しい素材やテクノロジーを活用した製品が登場しました。これらは、スタイルと機能性を兼ね備え、ファッションの新たな可能性を示しています。 - ロボット技術の導入
Ying Gaoによるロボティック服など、革新的なテクノロジーを取り入れた服が注目されています。これらの服は、写真撮影時に反応して動くなど、インタラクティブな要素を持っています。 - アニメーションの影響
MSCHFの「ビッグレッドブーツ」のように、アニメーションや漫画からインスピレーションを受けたデザインが人気を集めています。 - サステナビリティへの取り組み
Balenaの生分解性サンダルやChampionの生分解性スウェットシャツなど、環境への影響を考慮したサステナブルなファッションが強調されています。 - 3Dプリントの活用
Zellerfeldの3Dプリントされた靴など、3Dプリント技術を活用した製品が登場しています。これらはカスタマイズ可能で、リサイクルも容易です。
■建設デザインのトレンド
- サステナビリティ
建設業界は、建物のエネルギー効率を向上させ、温室効果ガスの排出を減らす方法を模索しています。これには、太陽光や風力などを利用した省エネ建築や、持続可能な材料とグリーンビルディング方法の採用が含まれます。 - サプライチェーン管理
- バーチャルリアリティ
VRシミュレーションシステムを使い、建設前に詳細な3Dインタラクティブレンダリングを通じてプロジェクトを確認する方法が注目されています。 - 労働力不足
デザインという観点からは少し外れてしまいますが、建設業界は人材不足に直面しており、業界知識を持つ高齢者の退職による影響が大きくなっています。そのため、競争力のある賃金や福利厚生、柔軟な勤務時間、労働者の開発と訓練などを提供しています。 - 多様性の促進
建設業界は、女性や少数派グループの雇用を促進することで、現在および将来の人材不足を解消しようとしています。 - レンタル機器
建設会社は、設備投資とメンテナンスコストを節約するために、機器のレンタルを選択しています。 - ジェネラティブデザイン
強力なソフトウェアプログラムを使用して、最適な建築モデルを迅速に評価し、プロジェクトに最適な設計を特定する方法が採用されています。
■写真のトレンド
- 静止画像の中の動き
写真に動きを加えることで、面白い効果を生み出しています。カメラの動きや背景の構成をバランスよく調整することで、製品が主役のまま、アクションや動きの錯覚を生み出すことができます。 - 鮮やかな色彩
強い彩度とインテンシティ(強さ・鮮やかさ)のあるイメージが人気です。明るい色を使い、被写体と対比させることで、目を引く写真になります。写真現像ソフト(Photoshopなど)等での編集技術がこのスタイルを実現します。 - フィッシュアイ&360度カメラ
独特の歪んだ視覚効果を生み出すフィッシュアイレンズや、Googleストリートビューのような360℃カメラが積極的に使用されるようになりました。このレンズを使用することで、見る人が自由な視点でその写真を見たり、世界観を感じることができます。 - ミニマリズム
シンプルで洗練された写真が好まれました。色理論を活用し、撮影する製品に合ったテクスチャを考えることが重要です。オンラインショップ用の写真でも独特の照明や背景を使い、特徴を持たせたものが多くなりました。 - テキストオーバーレイ
TikTokやInstagramのリールなどの影響で、グラフィックや、コラージュスタイルのビデオ編集がはやりました。スマートフォン1つで完結できる編集ということもあり、よく見る写真(動画)となっています。 - ポラロイド
フィルム写真の復活と共に、ポラロイド写真が再び注目されています。これはノスタルジックなトレンドの一部で、親しみやすい感情を呼び起こします。 - クローズアップ
Instagramなどで見られる、極端なクローズアップ写真が流行しています。プロの写真では、マクロレンズを使用して高いディテールを捉えています。 - モノクロームパレット
モノクロームの配色が、製品や食品写真で人気となりました。一貫した色調が視覚的に心地よく、製品を引き立てます。
2023年の建設、写真、ファッション、プロダクト、ウェブデザインなど、さまざまな分野のトレンドをご紹介しました。
これらのトレンドは、テクノロジーの進歩、環境への配慮、クリエイティブな表現の追求がいかに業界全体に影響を与えているかを示しています。これらの進展は、私たちの生活や働き方に大きな影響を与え、今後もこの変化は続くと思われます。デザインの世界は常に進化し続けており、それに伴い新しい可能性が開かれています。