BLOG

デザインは何のためにある?「おしゃれにする」だけではない身近な役割

この記事でわかること

  • デザインが、日常や仕事の中でどのような役割を果たしているか
  • 色、文字、配置などによって、伝わり方や印象がどう変わるか
  • 専門知識がなくても気づける、身近なデザインの見方

結論からお伝えします

デザインは、見た目を美しく整えることだけを指しているわけではありません。
気づいてもらう、伝わりやすくする、雰囲気をつくる、使いやすくする、楽しさを生む。これらはすべて、デザインが果たしている役割です。
美しさと分かりやすさはどちらか一方を選ぶものではなく、日常や仕事のさまざまな場面に、どちらも関わっています。

「デザイン」と聞いて、何を思い浮かべますか。

おしゃれなロゴ、洗練された広告、カフェのメニューブック。そういった「見ていて美しいもの」をまず思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろん、それもデザインです。美しさや楽しさを生むことは、デザインの大切な役割のひとつです。

ただ、デザインが関わっている場面は、それだけではありません。

たとえば、病院の廊下にある「受付はこちら」という案内表示。文字の大きさ、矢印の向き、周囲との色の違い。あの表示は、迷っている人が目的地に着けるように設計されています。
スーパーで商品を手に取るとき、棚の前で何かを比べていませんか。パッケージの情報の並び方、使われている色や写真。何も考えていないようで、視線はどこかに誘導されています。
会議で配られた資料を読むとき、読みやすいと感じる資料と、どこを読んでいいか迷う資料があります。その違いは、文字の大きさや行間、情報のまとまり方から来ていることが多いのです。

こうした場面で「デザインが助けてくれている」と意識することは、日常ではほとんどないと思います。うまく機能しているデザインは、存在に気づかせないくらい自然に馴染んでいることが多いからです。

この記事は、デザインの専門的な定義を覚えるための記事ではありません。
デザインを外注するための手引きでも、デザイン案を評価するチェックリストでもありません。
デザインに詳しくない方が、「デザインって何をしているんだろう」と感じたとき、その問いに一緒に向き合うための記事です。

取り上げる内容は次の通りです。

  • 日常や仕事の中で、デザインが関わっている身近な場面
  • 気づいてもらう、伝える、雰囲気をつくる、使いやすくするという4つの役割
  • 美しさや楽しさも、デザインの価値であること
  • 専門知識がなくても、身近なものをちょっと違う視点で見るきっかけ

「デザインは特別な人のもの」と思っていた方にこそ、読んでいただきたい内容にまとめています。

 

日常の中でデザインが関わる4つの場面のイラスト

ここからは、より詳しく見ていきましょう。まず「デザインが日常のどんな場面と関わっているか」から解説します。

デザインは、身近な「伝わり方」や「使い方」に関わっている

「見た目を整えること」だけではない

デザインというと「おしゃれにする」「かっこよくする」という印象が強い方も多いと思います。
もちろんそれは正しいのですが、デザインが実際に関わっていることはもう少し広い範囲に及びます。

たとえば、スーパーで手に取った商品パッケージ。原材料、賞味期限、アレルギー表示、開け方の図。これらをどの順番に、どのくらいの大きさで、どこに配置するか。それを決めることも、デザインの仕事のひとつです。
市役所の窓口や病院の受付で目にする案内表示も、どの文字を大きくするか、矢印をどちらに向けるか、誰でも分かるようにするにはどうするかを考えた結果です。
毎日使うスマートフォンのアプリも、どこをタップすれば何が起きるかが分かるように、表示や配置を設計されています。

「誰が、どんな場面で、これに触れるのか」を考え、見た目の選択に理由を持たせること。それがデザインに含まれる考え方です。

対象は、視覚的な表現だけではない

デザインには、製品の形や使い心地を設計するプロダクトデザイン、建物や部屋の空間デザイン、サービスの体験を設計するサービスデザインなど、視覚的な表現を超えた広い領域があります。
この記事では、日常の中で目に触れやすい「見た目の情報」を中心に取り上げますが、そうした領域も同じように「使う人のことを考える」という姿勢を共有しています。


情報の強弱を変えた掲示物の比較図(架空のサンプル)

役割1|見つけてもらう、気づいてもらう

情報があることと、気づいてもらえることは別の話

壁に貼られたお知らせ、棚に並んだ商品、配られた資料の表紙。
そこに情報が存在していても、目に入らなければ、それは存在していないのと同じです。

「見つけてもらう」「気づいてもらう」ことは、デザインが担う最初の役割のひとつです。

たとえば、案内板に書かれた文字がすべて同じ大きさで並んでいたとしたら、どこを見ればいいか分からなくなります。見出しが目立ち、補足がそれより小さい。そういう強弱がついていることで、何が重要かを素早く判断できます。

「目立てばよい」ではない

ただし、何でも派手にすれば気づいてもらえるわけではありません。

周囲のものとあまりにも違いすぎると、浮いて見えてしまうことがあります。静かな場所の案内表示が過剰に目立つと、かえって落ち着かない印象を与えることもあります。
「目立つ」ことと「その場に合っている」ことは、必ずしも同じ方向を向いていません。

また、すべての情報を同じように目立たせると、どれが重要かを選びにくくなります。
重要なものと補足情報の間に差をつけることが、結果的に「必要なものに気づいてもらう」につながります。

上の比較図(IMG-02)は架空のサンプルです。同じ情報でも、強弱の付け方によって最初に目に入る場所が変わることを示しています。どちらが「正解」という話ではなく、目的や場面によって適した見せ方が変わります。


情報のグルーピングと余白を変えた案内カードの比較図(架空のサンプル)

役割2|情報を整理して、分かりやすく伝える

必要な情報があっても、探しにくければ理解に負担がかかる

「書いてあるのに読んでもらえない」という経験はないでしょうか。
情報の量が少ないのではなく、どこを読めばいいかが分かりにくいことが原因のひとつです。

イベントの案内チラシで、日付・場所・参加費・申し込み方法がばらばらに散らばっていると、必要な情報を探すだけで手間がかかります。関連するものをまとめ、見出しをつけ、順番を考える。その整理がされているかどうかで、読む側の負担は大きく変わります。

余白は「何もない空間」ではない

情報を整理するうえで、余白の使い方は意外と重要な役割を持っています。
余白は空白を埋め忘れたのではなく、情報のまとまりや区切りを伝えるために使われることがあります。

「ここからは別の話が始まる」「これはひとつのグループ」ということを、線を引かなくても空間の使い方で伝えることができます。

整理は、情報を減らすことだけではない

「すっきりさせる」イコール「情報を削る」ではありません。

読む人、使う場面、確認すべき内容によって、必要な情報の量は変わります。
専門的な商品の仕様書と、初めて訪れた方向けの案内では、同じ「整理する」でも内容が変わります。
大切なのは、相手にとって必要なものが、必要なときに取り出せる状態になっているかどうかです。

上の比較図(IMG-03)は架空のサンプルです。情報の数を変えず、グルーピングと余白だけを変えたとき、追いやすさがどう変わるかを示しています。


同じ内容で書体と色を変えた案内カードの印象比較図(架空のサンプル)

役割3|雰囲気や、そのものらしさを伝える

同じ言葉でも、見た目で受け取る印象は変わる

「OPEN」という一言を、細いセリフ体の書体で書いた場合と、丸みのあるゴシック体で書いた場合では、同じ言葉でも受け取る印象が変わります。
どちらが優れているということではありません。端正で落ち着いた印象を持つ場に合う書体と、親しみやすく入りやすい雰囲気をつくりたい場に合う書体は、方向性が違います。

書体、色、写真の選び方は、そのもの(お店、会社、商品、資料)がどんな雰囲気を持っているかを伝える手がかりになります。
言葉の意味と、見た目の雰囲気は、一緒に情報を伝えています。

どの印象が「正解」ではなく、場面との相性

親しみやすさ、落ち着き、軽快さ、誠実さ。そういった印象はどれが優れているのではなく、内容や場面に合っているかどうかが重要です。

保険の案内に使われるデザインと、子ども向けのワークショップの案内に使われるデザインは、向いている方向が違います。それぞれの場面に求められる雰囲気が違うからです。
また、色や書体の受け取り方は、見る人の経験や背景によって変わります。特定の色が必ず特定の感情を生むとは言えません。

見た目の印象と、実際の内容・品質は別のこと

デザインが整っていると、信頼感や安心感を感じやすい場面があります。
ただ、見た目から受け取った印象が、実際の内容や品質と同じとは限りません。丁寧に見えるデザインの資料が、必ずしも丁寧なサービスを約束するわけではありませんし、その逆も同じです。
デザインは「らしさを伝える手段」のひとつであり、実際の中身と別に機能するものではありません。

上の比較図(IMG-04)は架空のサンプルです。同じ情報を、異なる書体・配色で組んだとき、受け取る印象がどう変わるかを示しています。優劣の比較ではなく、雰囲気の方向性の違いとして見てください。

デザイン案が届いたとき、どんな視点で確認すればよいかを知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。

デザインの良し悪しはどう判断する?5つの視点を読む


案内板のデザインで行き先が分かりやすくなっているシーンのイラスト

役割4|迷いにくく、使いやすくする

「どこへ行けばいいか」「何をすればいいか」が分かると、動きやすくなる

案内表示で行き先が分かると、迷わずに動けます。
申込フォームで「次に何を入力すればいいか」が分かると、途中で止まらずに進めます。
ボタンと、ただの文字が見分けられると、操作する場所を間違えにくくなります。

「迷いにくくする」「使いやすくする」ことも、デザインが担う役割のひとつです。

色だけに意味を任せない

「赤が重要な情報、青が補足」というように、色だけで意味を区別しようとすると、色の見え方に違いがある方には伝わりにくい場合があります。
色と一緒に、形や文字、アイコンを使って意味を伝える方法が、より多くの人に届きやすくなります。

使いやすさは、見た目が整っているだけでは保証されない

見た目がすっきりしていても、実際に使ってみると迷う場面は出てきます。
利用者の年齢、見え方の違い、使っている環境、慣れ親しんでいる操作のくせなど、さまざまな条件によって使いやすさの感じ方は変わります。

デザインを整えることは出発点のひとつですが、実際に使う状況で確認することが必要です。

なお、安全に関わる誘導表示や、特定の施設・製品に求められる表示には、法令や業界基準が存在する場合があります。この記事は一般的なデザインの考え方を取り上げており、そうした専門的な基準の解説ではありません。


上品なパッケージや紙もの制作物を手にとって眺めるシーンのイラスト

美しさや楽しさも、デザインの大切な役割

「機能だけが大切」ではない

ここまで「伝わる」「使いやすい」という側面からデザインの役割を見てきました。
ただ、効率や情報の整理だけがデザインの価値ではありません。

好きなパッケージを手元に置いておきたくなること、季節のポスターを見て気分が変わること、質感の良い紙に触れて心地よさを感じること。そういった体験も、デザインが生み出せる価値です。

「これを見ると気分が上がる」「なんとなく好き」という感覚は、直接的な機能や情報伝達とは別の、大切な意味を持っています。

美しさと分かりやすさは対立しない

美しいデザインは分かりにくい、分かりやすいデザインは無味乾燥になる、というわけではありません。
美しさと機能が両立している場面は、日常のいたるところにあります。使いやすく、かつ手に取りたくなる日用品。読みやすく、かつ見ていて飽きない書籍のレイアウト。そうした両立は、どちらかを犠牲にした結果ではなく、両方を同時に考えた結果として生まれます。

好みには個人差がある

何を美しいと感じるか、何が心地よいかは、見る人によって異なります。
「一般的に美しいとされる」という基準は存在しますが、それが誰にとっても同じ感じ方をもたらすとは言えません。
美しさや楽しさを評価するとき、自分の好みを他者に押しつけることなく、それぞれの受け取り方を尊重することが、デザインを共に考えるうえでの姿勢にもつながります。

会社の発信では、こうした雰囲気をホームページ・会社案内・SNSでどうそろえるかが課題になることがあります。あわせてお読みください。

デザインがバラバラ?会社らしさをそろえる方法を読む


仕事の中にも、デザインが関わる場面はたくさんある

「広告を作る人の仕事」だけではない

デザインは、広告やロゴを制作する専門職の人だけに関係するわけではありません。

会議で使う資料、社内の掲示物、取引先に渡す名刺、商品の説明書き、ホームページのお知らせ欄。仕事の中には、デザインの考え方が関わる場面が意外と多くあります。
「この説明、読んでもらえているだろうか」「どこに何を書けば伝わるだろうか」と考えるとき、それはすでにデザインに近い問いを立てていると言えます。

全員が専門家になる必要はない

だからといって、全員がデザインソフトを操作したり、配色の理論を学んだりする必要があるわけではありません。
「読みにくい」「どこに何が書いてあるか分からない」「これを渡して大丈夫だろうか」と気づくことも、デザインへの入口になります。

専門家に相談するとき、完成したイメージや専門用語が必要というわけでもありません。
「こういう場面で使う資料が、うまく伝わっていない気がする」「受け取った人に、こう感じてほしい」という状況の共有から、話を始めることができます。

業種や役職を問わず、関わる場面はある

製造業の現場担当者でも、飲食店のスタッフでも、個人事業主でも。仕事の中で何かを「人に伝える」場面がある限り、デザインの考え方は関わってきます。
特定の業種や役職だけの話ではありません。


身近なものを「なぜこうなっている?」と見てみよう

最後に、一つ提案があります。

専門的な知識がなくても、デザインへの関心は日常の中から始められます。
正解を探すのではなく、自分がどう受け取ったかを観察してみる。それだけで、見え方が少し変わってきます。

たとえば、手に取ったパンフレット、立ち寄ったお店の案内、使っているアプリの画面。次のような問いを、採点ではなく観察として試してみてください。

  • 何が最初に目に入ったか
  • どこから読もうとしたか
  • どんな雰囲気を感じたか
  • どこかで迷ったか
  • 何か好きだと感じたか

自分の受け取り方と、他の人の受け取り方が違うこともあります。それもデザインを考えるうえで面白い観察です。
「なぜ、ここにこれがあるのだろう」と疑問を持ってみると、見慣れたものの中にも、何らかの意図や工夫が見えてくることがあります。

ドリームクリエイトでは、制作物を作るときに「誰が、どんな場面で、これに触れるか」を最初に考えるようにしています。見た目の美しさも、伝わりやすさも、どちらも大切にしながら、使う人の立場に合わせて形にしていくことを心がけています。


まとめ|デザインは、日常や仕事を少し見やすくする視点

デザインは、見た目を美しく整えることも大切な役割のひとつです。同時に、気づいてもらう、伝わりやすくする、雰囲気をつくる、使いやすくする、楽しさを生む、といった役割も担っています。

これらは対立するものではなく、日常や仕事のさまざまな場面で、互いに重なり合いながら機能しています。
専門的な知識がなくても、身近なものを「なぜこうなっているのだろう」と少し意識して見てみるところから、デザインとの関わり方は始まります。

仕事の中でも、日常の中でも、目に入るものに少し立ち止まってみる。そうした小さな観察の積み重ねが、「何かがうまく伝わっていない」「もう少しこうなればいい」という気づきにつながることがあります。

この記事をきっかけに、身近なデザインをもう少しだけゆっくり見てみてください。

「伝わらない」「見づらい」「うまく使えていない」。仕事の中で感じた違和感から、気軽に相談いただけます。何を作るか決まっていなくても、どうぞお声がけください。

デザインについて、まず相談してみる


よくある質問

デザインは、センスがある人だけに関係するものですか?

センスは生まれつきの才能というより、経験や観察から身につくものだと言われることが多いです。専門家でなくても、「読みにくい」「何が書いてあるか分からない」と感じる場面はあります。その気づきも、デザインに関心を持つ出発点のひとつです。デザインは特定の人だけに関係するものではありません。

おしゃれであれば、よいデザインといえますか?

おしゃれさはデザインの大切な価値のひとつですが、それだけがよいデザインの条件とは言えません。見た目が美しくても、使いにくかったり、必要な情報が見つからなかったりすることがあります。何のためのデザインか、誰が使うかによって、「よい」の意味は変わります。

デザインは、色や形を決めることですか?

色や形を決めることは、デザインの仕事の一部です。それだけでなく、情報の順番や優先度を考えること、誰に何を伝えるかを整理すること、使いやすさを確認することなども含まれます。最終的な見た目は、そうした検討を経て決まっていくことが多いです。

デザインを学んでいなくても、仕事に活かせますか?

デザインの考え方を仕事に活かすために、専門的な学習が必須というわけではありません。「この資料、どこを読めばいいか分からない」「この案内、もう少し分かりやすくできないか」という気づきから始めることができます。専門家に相談するとき、完成したデザインのイメージがなくても、困っている状況を伝えることで話が進むことがほとんどです。

何を作るか決まっていなくても、デザイン会社に相談できますか?

会社によって対応範囲は異なりますが、「何をどう改善すればいいか分からない」という状態からでも相談を受け付けている会社はあります。ドリームクリエイトでは、制作前の課題整理から一緒に考えることも相談の入口としています。まずはお気軽にお問い合わせください。

[ Resources ]

資料ダウンロード

私たちが日々のプロジェクトで培った「生きたノウハウ」を公開。成果を出すための戦略や事例を、わかりやすい資料にまとめました。ぜひご活用ください。

[ Contact ]

お問い合わせ・無料相談

まずはお気軽にご相談ください。
課題や状況についてお話を伺います。