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この記事でわかること
会社らしさをそろえるとは、すべての媒体を同じデザインにすることではありません。
会社が伝える強みや基本情報、ロゴ・色・写真・言葉の共通する軸を決め、相手と媒体に合わせて見せ方を変えることです。
既存の制作物を並べて確認し、影響の大きい違いや矛盾から、無理なく整えていきます。
「ホームページは去年リニューアルしたけれど、会社案内は5年前のまま。SNSは担当者がそれぞれ作っていて、投稿ごとに雰囲気が違う。」
こうした状況は、多くの企業で起きています。特に、総務・広報・採用・販促・ホームページを一人または少人数で担当している場合、媒体ごとに対応するのが精一杯で、全体を見渡す余裕がないのが実態です。
制作を依頼した会社が媒体ごとに違う、担当者が変わるたびに参考にした素材が変わる、「とりあえず急いで作った」という経緯が積み重なる。デザインのばらつきは、誰かの不注意や美的センスの問題ではなく、こうした経緯の積み重ねから生まれます。
ばらつきが困るのは、見た目だけの話ではありません。
Webサイトに掲載しているサービス名と、営業資料に書いてあるサービス名が違う。問い合わせ先の電話番号がどこかで変わっていて、古い版が残っている。採用ページには「アットホームな職場」とあるが、会社案内には「専門集団」と書いてある。こうした情報の矛盾は、相手の信頼や判断に影響します。
一方で、「会社らしさをそろえるには、全部を一度に作り直す必要がある」と思って手が止まっている担当者も多いのではないでしょうか。
予算も時間も限られているなかで、どこから手をつければよいか分からない、というのは現実的な悩みです。
この記事では、デザインや発信が複数の媒体にまたがっている企業の担当者に向けて、次の内容を整理します。
全部を作り直すことを前提にせず、いまある制作物を起点に整えていく方法を中心にまとめています。「どこから手をつければいいか分からない」という段階からの方にも参考になる内容です。

ここからは、より詳しく見ていきましょう。まず、ばらつきがどのように生まれるかを整理します。
ホームページのリニューアルを制作会社Aに依頼し、会社案内は別の印刷会社Bに頼み、SNSは社内の担当者が運用している。このように制作の経緯が分かれていると、参考にした素材、使ったロゴのデータ、会社の説明文がそれぞれ異なることがあります。
担当者が変わるたびに、前任者の判断の根拠が引き継がれず、「前はこうだったから」という理由で新しい素材が作られる。急いで制作した媒体では、共通方針を確認する時間がなかった。こうした積み重ねが、現在のばらつきを生みます。
デザインがばらつくことは、担当者のセンスや努力の問題ではなく、共通方針と最新版の素材が共有されていないという仕組みの問題です。
ばらつきには二種類あります。一つは見た目の印象の違い(色の雰囲気、フォント、写真のトーンなど)、もう一つは情報の矛盾(サービス名、対応範囲、連絡先の内容が媒体によって違うなど)です。
この二つは、対処の優先度が異なります。情報の矛盾は、相手が判断を誤る原因になるため、見た目の違いより先に確認する必要があります。
以下の表は、よくあるばらつきの例と、最初に確認すべきことをまとめたものです。
| 起きていること | 考えられる背景 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 古いロゴが一部の媒体に残っている | 更新時に素材が共有されなかった | 正式なロゴデータの所在と最新版 |
| 会社の事業説明が部署ごとに違う | 部署単位で資料を作成してきた | 現在の公式な会社説明はどれか |
| SNSごとに写真の雰囲気が大きく違う | 担当者や撮影者が媒体ごとに異なる | 意図的な違いか、偶然のばらつきか |
| 対応サービスの記載が媒体で違う | 事業変更が全媒体に反映されていない | 現在の正確な対応範囲はどこか |
「違う=すべて修正」ではありません。営業部門の連絡先と採用問い合わせ先が違うなど、目的に沿った違いは残す判断もあります。

「会社らしいデザインにしてほしい」という要望は、制作の現場でよく聞かれます。ただ、この言葉だけでは、何がどう「らしい」のかが伝わりません。
会社らしさを決める材料は、担当者の好みだけにするべきではありません。経営側が重視していること、営業担当者が取引先に繰り返し伝えていること、現場が大切にしている仕事のやり方、顧客や取引先からよく言われること。こうした実態から整理することで、関係者が共有しやすい基準になります。
また、今の実態ではなく、将来目指す姿を表現したい場合は、現在の実態と区別して扱うことが重要です。裏づけのない理想像を、いま提供している価値のように見せることは避けてください。
「誠実で専門性があり、相談しやすい会社」という会社らしさを定義したとします。
これは出発点としては有効ですが、そのままでは制作物のデザインや言葉の判断には使いにくいです。
たとえばこの例であれば、次のような表現の判断に落とし込めます。
これはあくまで一つの例です。会社によって、現場が大切にしていることは違います。
また、この方針を制作物に反映させるには、担当者一人が決めるのではなく、経営や現場を含む関係者と確認・合意することが必要です。
抽象的な印象の言葉を、デザインや文章の判断に使える具体的な基準へと置き換えることで、複数の制作会社や担当者が異なる媒体を作るときも、方向性がずれにくくなります。

媒体をまたいで必ず共通させるべきなのは、会社名・連絡先・対応範囲などの基本情報、そして会社の強みや事業の説明です。これらが媒体によって矛盾していると、相手の信頼や判断に影響します。
一方で、すべての媒体を同じレイアウトやデザインにする必要はありません。
採用SNSは親しみやすいトーンで、営業資料は情報量を重視した説明中心でよい。Webサイトはスクロールで読む構成で、会社案内は持ち歩いて渡す構成でよい。相手と媒体に合わせて表現を変えることは、会社らしさを壊すことではありません。
同じ「会社の強み」を伝えるにも、採用ページでは「どんな人と働けるか」という切り口で、営業資料では「どんな課題を解決できるか」という切り口で伝えることができます。共通するのは強みの実態であり、切り口や情報量は読み手に合わせて変えられます。
別事業部や採用ブランドで表現を意図的に分けている場合は、社内方針に沿って判断してください。その場合も、共通する基本情報(会社名・所在地・連絡先など)は整合性を保つことを確認してください。
媒体間の違いがすべて問題ではありません。意図的に異なる表現を使っている場合は、その理由を担当者や制作会社が共有しておくことが重要です。理由が共有されないと、次の更新や引き継ぎの際に、意図的な違いが誤って修正されることがあります。
以下の表で、項目ごとの整理を確認してください。
| 項目 | 共通させる軸 | 変えてよい部分 | 確認が必要な場合 |
|---|---|---|---|
| 会社名・連絡先 | 正式名称・公式の連絡先 | 窓口別の担当部署の案内 | 窓口の目的が読み手に明確か |
| ロゴ | 承認済みの正式データ・使用ルール | 背景色に合わせた白黒・反転版 | 既存の使用規定との整合 |
| 色 | 主役の色・役割の整理 | 媒体の目的に合わせた補助色 | 文字の読みやすさが維持されているか |
| 写真 | 現場の実態が伝わる方向性 | 媒体ごとのトーン・構図 | 安全・機密・本人の意向の確認 |
| 言葉 | サービス名・専門用語の表記 | 媒体に合わせた文体・情報量 | 会社の姿勢と矛盾する表現がないか |
| レイアウト・構成 | 情報の優先順位の考え方 | 媒体・用途・読み手に合わせた構成 | 全媒体を同じテンプレートに押し込めていないか |

ロゴに関するばらつきは、「古いバージョンのロゴが使われている」「縦横比が変形している」「背景の色に合わせず使っている」といった形で現れます。
まず確認すべきなのは、承認されたロゴデータの種類(カラー版・白黒版・反転版など)が揃っているか、そして最新版がどこに保存されているかです。
既存のロゴ使用規定があれば、それを優先します。規定がない場合は、正確な余白寸法や最小サイズを勝手に決めるのではなく、制作を担当した会社や設計した担当者と確認してください。簡易的な使用ガイドをまとめる場合も、根拠のある情報を基にすることが重要です。
色について
主役となる色(コーポレートカラー)、補助色、本文の文字色、背景色など、それぞれの役割を整理します。すべての面をコーポレートカラーで塗りつぶすことが統一ではありません。色の使いすぎは、かえって読みにくさや印象の混乱を招くことがあります。
WebとA4印刷物では、同じカラーコードでも見え方が変わります。「同じコードにすれば完全に同じ見た目になる」とは言えないため、実際の媒体で確認することを勧めます。また、色の統一を優先して文字の読みやすさを落とすことは避けてください。
文字について
見出しの方向性、本文との役割分担を整理します。ただし、WebサイトとOffice資料と印刷物では利用できる書体の環境が異なります。全媒体に同じフォントを強制することが難しい場合は、方向性(例:明朝体系かゴシック体系か)を揃え、フォントの具体名は環境ごとに使えるものを選ぶことが現実的です。利用するフォントのライセンスも事前に確認してください。
写真について
媒体ごとに写真のトーンや雰囲気が極端に異なると、同じ会社の発信に見えにくくなります。色味や明るさの大まかな方向性(例:自然光の明るさを基本とする、過度な加工をしない)を共有することで、異なる担当者が撮影・選定しても方向性がそろいやすくなります。
すべての写真を同じ加工にする必要はありません。自社の写真と素材写真の役割を考え、安全上必要な保護具を見栄えのために消すなどの加工は行わないようにします。写真の撮影準備に関するより詳しい内容は別記事でまとめています。
言葉について
会社名の略称・サービス名・事業名・専門用語の表記を媒体間でそろえます。「株式会社○○」と「○○株式会社」が混在する、商品名に揺れがある、といった表記の不統一は、対外的な信頼感に影響します。
会社の姿勢と矛盾する誇張表現(「業界最高品質」「完全対応」など、根拠のない断定)は避けます。言葉のトーンは媒体に合わせて変えられますが、伝える内容の方向性は共通させます。

すべての媒体を一度に確認しようとすると、作業が大きくなりすぎます。まずはよく使う三つ程度の媒体を選び、並べて確認することから始めます。
候補として選びやすいのは、ホームページの主要ページ(TOPページと事業紹介ページなど)、会社案内または直近の営業資料、直近のSNS投稿(プロフィール画像を含む)です。
名刺や封筒なども手元にあれば加えてください。
確認するときは、デザインの好みの投票ではなく、これまで整理してきた「共通させるべき情報と表現」と「会社の実態」に照らして見ていきます。
違いを見つけたときは、すぐに「修正が必要」と判断するのではなく、「なぜ違うか」を確認します。
当時の依頼内容、渡した素材、担当者の判断の根拠が分かると、意図的な違いと偶然のばらつきを区別できます。外部の制作会社を責める前に、当時の指示や共有した情報も確認してください。
また、旧版と新版を取り違えないよう、日付や版番号が分かる状態で並べることを勧めます。
以下は、架空の金属加工業(従業員約60名)を想定した確認例です。自社の確認の参考にしてください。
| 媒体 | 気づいた違い | 対応の判断 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 会社案内(3年前制作) | 旧サービス名が残っている | 修正が必要(情報の矛盾) | 営業担当・制作担当 |
| SNS(採用アカウント) | 一年前のロゴ旧バージョンが使われている | 修正が必要(正式データに差し替え) | ロゴデータの管理者 |
| Webサイトと会社案内 | 写真の雰囲気が大きく異なる | 目的を確認(意図的なら残す) | 制作の経緯・方針担当 |
| 営業資料 | 連絡先が担当部署の直通番号になっている | 用途が明確なら残す | 営業担当・確認済みか |
📥 会社の発信全体の軸を整理したい方へ
デザインの違いを見つけても、共通させる軸が決まっていなければ、どこまで統一すべきか判断に迷います。会社の強みや媒体ごとの役割を整理したい方は、こちらのガイドをご活用ください。

改善の優先順位を決めるときは、次の順序を参考にしてください。
何を直すかは、費用・使用頻度・影響の大きさ・変更のしやすさを組み合わせて判断します。Webが常に最優先とは限りません。商談で毎回使う資料の方が、接触頻度が高い場合もあります。
誤情報のある印刷物は、状況によって対応が変わります。在庫を使い切るまで使い続けるのか、配布を止めるのか、補足シートを添付するのか、即座に破棄するのかは、内容の影響度と使用状況に応じて関係者と判断してください。
また、小さな修正で済む場合と、構成やブランド方針から見直す必要がある場合は区別して考えます。修正コストをかける前に、その媒体がいつまで使われるかも確認しておくと、判断の根拠になります。

「ブランドガイドライン」という言葉を聞くと、大企業が持つような分厚いマニュアルを想像するかもしれません。しかし、兼務担当者が一人でそれを作ることは現実的ではありませんし、必須でもありません。
最初は、数ページの資料や共有フォルダの整理から始められます。
以下は、最低限まとめておくとよい項目の例です。
この内容を共有フォルダに入れ、制作会社への依頼時に最新版を渡す仕組みを作るだけで、ばらつきは大幅に減らせます。
複数の制作会社がいる場合、同じ最新版の素材を渡せる状態にすることが重要です。制作会社を一本化することだけが解決策ではありません。共通の素材と最新の方針資料を共有できる状態を作ることで、委託先が複数あっても方向性をそろえやすくなります。
素材の管理では、次の点を整理してください。
「ロゴを変更する」「新しい色や表現を追加する」「事業名を変更する」など、影響の大きい変更は、担当者一人で判断せず確認フローを決めておきます。一方、日常の更新(SNS投稿の文章や写真の差し替えなど)を毎回全員承認にすると、更新が止まる原因になります。担当者が判断できる範囲と、確認が必要な変更の範囲を整理しておくことが、運用を続けるコツです。
担当者が交代するときは、データだけでなく「なぜこの判断をしたか」という理由も引き継ぐようにすると、次の担当者が意図を外した修正をするリスクが減ります。
ドリームクリエイトでは、「見た目をそろえてほしい」という依頼の前に、会社の強み・伝える相手・媒体ごとの役割を整理することを大切にしています。
ばらつきが生まれている背景には、「何を伝えたいか」の軸が共有されていないことが多くあります。見た目を整える前に、会社が伝えたい価値を言葉で整理し、それをデザインと表現に落とし込む順序で進めることで、更新のたびに方向性がずれにくくなります。
ホームページのリニューアル、会社案内・営業資料などのDTP制作、SNS運用など、複数の媒体にまたがって対応できます。撮影と制作を同じチームで進めることで、用途に合わせた素材の準備から媒体への実装まで、受け渡しをスムーズにすることができます。
複数の委託先と並行して動いている場合でも、共通方針や最新素材の整理・共有を支援することが可能です。また、制作後の運用や改善についても、必要に応じて相談できます。
具体的な対応範囲や進め方は、状況に合わせて相談のなかで確認しています。
サービスの詳細はこちらのサービスページからご覧いただけます。

会社らしさをそろえるとは、すべての媒体を同じデザインにすることではありません。
会社が伝える強みや基本情報、ロゴ・色・写真・言葉の共通する軸を決め、相手と媒体に合わせて見せ方を変えることです。
全部を一度に作り直す必要はありません。
まずは次の三つから始めてみてください。
共通する軸を決め、更新の仕組みを整えることが、担当者が変わっても会社らしさを維持できる基盤になります。
小さく始めて、使いながら整えていく進め方が、兼務担当者にとって現実的です。
すべての媒体で同じ色やレイアウトにする必要はありません。Webサイト・会社案内・SNSは、読み手も使われ方も異なります。共通させるのは、会社の基本情報と伝える価値の方向性、ロゴの正しい使い方、色や言葉の大まかな方針です。レイアウトや情報量は、媒体と読み手に合わせて変えられます。全面を同じコーポレートカラーで塗ることが統一ではありません。
問題ありません。採用SNSが親しみやすいトーンで、営業資料が情報中心の構成であることは、それぞれの読み手と目的に合わせた表現です。ただし、会社名・ロゴ・基本情報は共通させ、会社の姿勢と大きく矛盾する表現は避けてください。また、意図的に雰囲気を変えている場合は、その理由を社内で共有しておくと、次の担当者への引き継ぎがスムーズになります。
始められます。分厚いガイドラインがなくても、「共通させる情報と表現」「正式なロゴデータの場所」「色・写真・言葉の基本方針」「確認担当者」を数ページの資料や共有フォルダにまとめることから始められます。ルールは使いながら育てていくもので、最初から完成させようとせず、今ある制作物を整えるなかで必要な項目を追加していく進め方が現実的です。
制作会社を一本化することだけが解決策ではありません。共通の最新素材(ロゴデータ・色の情報・承認済み見本など)と、簡易的な方針資料を整備し、依頼のたびに渡す仕組みを作ることが現実的な対応です。各社が同じ情報を持っていれば、委託先が複数あっても方向性はそろいやすくなります。また、変更が必要なときの確認フローを決めておくと、媒体間の不整合が起きにくくなります。
必須ではありません。まず確認するのは、現在のロゴや媒体が正しく・一貫して使われているかどうかです。古いデータが使われている、変形して使われているといった問題は、新しく作り直さなくても正式なデータに差し替えることで解決します。ロゴ変更や全面リニューアルが必要かどうかは、現状の問題の内容と影響の大きさを確認したうえで判断することを勧めます。
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